ベルギーにある世界遺産は全部で12件。全てが文化遺産で、自然遺産と複合遺産はありません。街の中心部や鉄道を使っていける場所にあるものが多く、初めてのベルギー旅行でも個人で簡単に行くことができます。現地在住者の体験談を元にしたランキングです。

グラン・プラス(ブリュッセル)

ベルギー観光のハイライト、世界遺産のグラン・プラス

ベルギー観光のハイライト、世界遺産のグラン・プラス

1998年に世界遺産に登録された、ベルギーで一番人気の観光名所であるグラン・プラス。ブリュッセル中央駅近くにある、中世の建物に囲まれた石畳の広場です。11~12世紀には市場の開かれる場所として栄え、各産業を代表する組合(ギルド)の建物が並んだことから、これらの建物はギルドハウスと呼ばれています。

縦70m、横110mの小さな広場で、一周くるりと回ったとしても5分程度。ですが、広場に面する一つ一つのギルドハウスには華麗な装飾が施されているため、ついつい足をとめて見とれてしまいます。ゆっくり景観を楽しむなら、30分以上は必要です。広場全体は花で埋め尽くされるフラワーカーペットの時期は、一番高い建物である市庁舎に登って上から眺めることもできます。

その他にも、クリスマスマーケットベルギービール・ウィークエンドフラワータイムなど、様々なイベントが一年を通して開催されています。

グラン・プラスを心ゆくまで体験するなら、グラン・プラスが見えるホテルに泊まるのもおすすめです。美しい景色を独占できるだけでなく、鉄道駅や他の見どころにも徒歩で行ける、ブリュッセルでもっとも便利な場所の一つです。

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ブルージュ歴史地区

どこまでも広がる赤い屋根

もう一つの世界遺産にも認定されている鐘楼から見える、どこまでも広がる赤い屋根

「屋根の無い美術館」として有名なブルージュは、何と3つの世界遺産を有しており、それらはお互いに重なり合っています。その中の一つ「ブルージュ歴史地区」とは、ブルージュの街の中心にあるマルクト広場から広がる歴史的な街並み全てを世界遺産に指定したもの。

この中には、別の世界遺産「ベルギーとフランスの鐘楼群」に認定された約83mの鐘楼(上に登れます)や、「フランドル地方のベギン会修道院」に認定されたベギン会修道院も含まれています。そしてマルクト広場には、ハンザ商人の富の象徴であった時代の切妻屋根のギルドハウスが並びます。

歴史的な街並みは徒歩で回れるだけでなく、クラシックな馬車運河クルーズで楽しむことも可能。どちらも、歩く時とは別の視点からもう一つのブルージュを楽しめます。

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フランドル地方のベギン会修道院(ブルージュ他)

ブルージュの駅から歩いてすぐの場所にあり、周囲には有名ブリュワリーやレストランも多数

ブルージュのベギン会修道院は駅から歩いてすぐの場所にあり、周囲には有名ブリュワリーやレストランも多数

女性の生き方が多様化する現代ですが、その昔、ヨーロッパ中世の封建的社会では、女性は結婚するか修道女になるほか生きていく術はありませんでした。修道女というと世間との接触を絶って教会の経済的支援で生きて行くというイメージが強いですが、ベルギーのベギン会修道院はそんな時代でも、唯一女性が自分の生き方を選択できた場所なんです。

現在、ベルギーのフランドル地方(北部)には、ブルージュをはじめアントワープ、ルーヴェン、リールなど13のベギン会修道院が点在し、これら全てが世界遺産に登録されています。一番のおすすめは、人気の都市ブルージュの街の中心部にあるブルージュの修道院ですが、ブリュッセル近郊の街ルーヴェンの修道院も行きやすいです。

結婚も、経済活動も自由だった唯一の修道院

12世紀のベルギーで、女性の自立支援のために女性だけで組織された共同体がベギン会でした。彼女たちは修道女として勤めながら、一方では俗世と接することで、半聖半俗の共同生活を送る新しい生き方を実践していました。自立するための経済的な活動は公式に許可されており、修道女たちは日中はレース編みなどをしたり、街に出て家事労働や家庭教師などで働き、夜は再び修道院での共同生活に戻りました。

また退会して結婚する自由も認められ、女性が自分の意思で生き方を選択できた、当時としては唯一ともいえる存在でした。ブルージュの修道院にある小さな博物館では、当時の女性の暮らしぶりを実際に見ることが出来ます。

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建築家ヴィクトール・オルタによる主な邸宅群(ブリュッセル)

pov_steve Horta Museum via photopin (license)

©pov_steve Horta Museum via photopin (license)

ヴィクトール・オルタは、アール・ヌーヴォー建築の先駆けとなった人物です。アール・ヌーヴォー建築は、ベルギーからその後、パリ、ウィーンなどヨーロッパ全体に伝播していきました。そんなオルタが手がけた邸宅たちは世界遺産に認定されており、今でもブリュッセルの街で見ることが出来ます。

現在は美術館であるオルタ邸以外は一般観光客には公開されていませんが、タッセル邸、ソルヴェー邸、ヴァン・エドヴェルド邸などは、美しい曲線からなる優美な外観を楽しむことができます。

オルタの建築は外からも楽しめますが、内部は優美さだけでなく様々な暮らしのための工夫が施されています。ブリュッセルの住宅は入り口は常に正面横にあり、側面の廊下が長く伸びている間取りが一般的ですが、それを部屋の配置を工夫してガラスを効果的に利用することで、邸内に光をうまく取り込んだ新しい建築手法となっています。

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ベルギーとフランスの鐘楼群

ブルージュの鐘楼は古い階段を登って展望台へ。ブルージュの街並みが見渡せます。

ブルージュの鐘楼は古い階段を登って展望台へ。ブルージュの街並みが見渡せます。

「ベルギーとフランスの鐘楼群」は、まず1999年にベルギーのフランドル地方とワロン地方にある鐘楼群が世界遺産に登録され、その後、2005年にフランスのノール・パ・ド・カレ地方とピカルディ地方の鐘楼群が追加されました。現在、55棟が世界遺産に登録されており、そのうちベルギーには32棟が存在しています。

32棟を全て回るのは難しいですが、このうち行きやすくておすすめなのが、ブルージュの鐘楼ゲントの鐘楼、アントワープのノートルダム大聖堂、ルーヴェンの聖ペテロ教会、メッヘレンの聖ロンバウツ教会の5つです。いずれも街の中心部にあり、鐘楼の上の展望台からは素晴らしい街並みを眺めることができます。

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プランタン・モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体(アントワープ)

プランタン・モレトゥス博物館は1867年まで印刷業に使われていたプランタン社の建物を利用した博物館で、2005年、世界遺産に選ばれました。

1605年にヨーロッパ発の活版印刷の新聞が刷られた場所、と聞くと、古びた工場を想像してしまいがちですが、実際にはベルギーの煉瓦造りの美しい建物と、豪華な内装と美術品の数々に圧倒される、アントワープを代表する博物館です。窓からは、綺麗に手入れされた庭園を眺めることができます。

聖書や本のコレクション、印刷室と世界一古い印刷機、編集室なども見ることができますよ。3万冊の本の中には、グーテンベルグの印刷による聖書も。プランタン社で出版した科学者シモン・ステフィン、医学者レンベルト・ドドエンスなどの本も展示されています。

印刷所というより豪邸。プランタン・モレトゥス博物館へ
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ギエット邸(アントワープ、ル・コルビュジエの建築作品の一部として)

Maison Guiette, Antwerpen via photopin

©Maison Guiette, Antwerpen via photopin (license)

アントワープ郊外にあるギエット邸(Maison Guiette)は、2016年に世界遺産となった「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献―」の一部です。

この世界遺産は、世界で初めての「大陸をまたく世界遺産」として知られています。20世紀の近代建築運動に多大な影響を及ぼした一人であるル・コルビュジエの作品を、住宅、工場、宗教建築などをまとめて世界遺産リストに登録した物件である。ベルギーのほか、フランス、アルゼンチン、インド、そして日本では国立西洋美術館がリストに含まれています。

ギエット邸は、画家ルネ・ギエットの依頼により、ル・コルビュジエが1926年から1927年に建築したアトリエ兼住宅です。
ベルギーのもう一つの世界遺産であるヴィクトール・オルタの曲線を生かした建物とは異なり、シンプルで直線的な白い箱、というのが一見した印象。これはコルビュジエが考案したシトロアン住宅(大量に生産が可能な白い箱型住宅で、フランスの大衆車「シトロエン」が名前の由来)の影響を受けています。

ギエット邸の正面外観(ファサード)は、ル・コルビュジエの「近代建築の五原則」のうちの「自由なファサード」の典型といわれています。左右対称の窓やファサードの構成や色彩など、コルビジェのデザイン性を感じられるほか、周囲の典型的なベルギーの建築スタイルとの対比も見逃せません。

中央運河にかかる4機の水力式リフトとその周辺のラ・ルヴィエール及びル・ルー(エノー)

ラ・ルヴィエールとル・ルーにあるサントル運河の4つのリフトとその周辺 (エノー州)

ラ・ルヴィエールとル・ルーにあるサントル運河の4つのリフトとその周辺 (エノー州)

高低差がある二つの運河を、どうやって船で運行するか。そんな工夫がダイナミックに表現されているのが、ベルギー南部のエノー州にあるラ・ルヴィエールとル・ルーにあるサントル運河にある4つの水力式リフト(昇降機)です。

このサントル運河には、ムーズ川とエスコー川の各ドックを連絡している7km の間に、66.2mもの高低差がが存在しています。この高さの違いを埋めるために1888年に開設されたのが、Houdeng-Goegniesの水力式リフトです。水力式のリフトは、一方が下がるともう一方が上がるようなしくみで作られており、船がリフトによって上下する様はまさに圧巻。

このようなリフトは19世紀末から20世紀初頭にかけて8基建造されましたが、世界遺産に登録された4基は、建造当時のままで稼動しているものが対象となっています。

トゥルネーのノートルダム大聖堂

トゥルネーのノートルダム大聖堂 by Jean-Pol GRANDMONT

トゥルネーのノートルダム大聖堂  © Jean-Pol GRANDMONT

トゥルネーのノートルダム大聖堂は、フランスとの国境近くの町トゥルネーにある全長134メートル、高さ83メートルを筆頭とする5つの塔を有する大聖堂です。12世紀に建てられ、ロマネスクとゴシック、二つの建築様式が混在する独特の姿が特徴です。1999年に自然災害により一部が破壊され、2030年に修復工事が終了予定となっています。

トゥルネーのノートルダム大聖堂の内部には、大聖堂の歴史が描かれた全長22メートルにも及ぶタペストリーや、ベルギー七大秘宝の一つといわれる聖遺物箱など、さまざまな宝物がおさめられています。

トゥルネーの街の中心部には、上でご紹介した「ベルギーとフランスの鐘楼群」に含まれる「トゥルネーの鐘楼」も建っています。

ストックレー邸(ブリュッセル)

ストックレー邸

ストックレー邸

ブリュッセル郊外にあるストックレー邸は、現在は個人所有の世界遺産です。一般公開はされていませんが、ヨーゼフ・ホフマン設計の建築は、ヴィクトール・オルタに代表されるアール・ヌーヴォー様式が多いブリュッセルにありながら、現代に通じるかのような直線的かつシンプルな外観でできています。

裕福な銀行家であったストックレーは、建築にかかった費用を数字の書いていない小切手で払ったという逸話があります。つまり、いくらかかっても良いから美しい建築を所有したかったそうです。

20世紀初頭に発達した、内装・外装、家具・日用品、庭園などを融合した総合芸術として世界遺産に認定されたストックレー邸の建築は、1905年から1911年にかけて段階的に行われました。クリムトの素描に基づいて構想され、レオポルト・フォルシュトナーによって作成された内装のモザイク画が有名です。

スピエンヌの新石器時代の火打石の鉱山発掘地(モンス)

ベルギー南部の郊外にあるモンス市は、古くから石灰岩地帯の町として知られており、2000年にスピエンヌの新石器時代の火打石採掘地として世界文化遺産に登録されました。

石が多く、またトルイユ川とヴァンプ側の二つの川により泥土が蓄積する場所にあるモンスは、地理的には農業に不向きな場所でしたが、深い地下にある火打石の採掘場として発展を遂げました。

採掘は紀元前4000年ころにはじまり、紀元前750年頃に終わったといわれています。地下採掘坑内の面積は100ヘクタールにも及びますが、19世紀の発見までは長い間歴史の中に埋もれていましたが、鉄道線路の工事中に偶然発見されました。

ワロン地方の主要な鉱山遺跡

ワロン地方とは、ベルギーを半分に割った時の南側の国土部分です。いくつかの有名な古城のほか、美しい町リエージュや、絶景が楽しめるディナンやなミュールなど大自然を感じさせる観光都市が多く、賑やかな都市が多いフランドル地方(ベルギー北部)とは全く違った雰囲気が楽しめます。

ワロン地方一帯は良質な石炭鉱が見つかり、かつて大量の石炭が採掘されたところとなっています。鉄鋼産業の発展によりヨーロッパに本格的な産業革命が巻き起こったきっかけとなった場所の一つで、近代社会の始まりに重要な貢献を果たしたことから、世界遺産に認定されました。

登録されているのは、ベルギー南部ワロン地方を西から東に横断する「グラン・オルニュ」、「カジエの森」、「ボワ・デュ・ルック」そして「ブレニー・ミーヌ」の4つの炭鉱跡です。

参考資料

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BELPLUS編集部

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