ルーベンスの家について
画家というと、破天荒で、あまりお金に興味がなくて、放浪のライフスタイルを送っている...というイメージを持っている方はいないでしょうか。だとしたら、ぜひアントワープではこのルーベンスの家を訪れてみてください。 17世紀を代表するベルギーの画家、ピーター・ポウル・ルーベンス(1577 - 1640)。若い頃に8年間イタリアで美術の修行をした彼は、イタリアの古代ローマやルネサンス時代の美術を学び、バロック美術の画家として開花しました。あまりにもイタリアを愛しすぎた彼は、イタリアの友人たちにあてた手紙には自らの名前のイタリア語読み「ピエトロ」を必ず使ったそうです。 [caption id="attachment_17767" align="aligncenter" width="705"]
ルーベンスの家で見られる作品群のうち最も有名な自画像[/caption] 「ルーベンスの家」は、彼が妻と子供と暮らした住居兼スタジオでもある大邸宅です。1640年に無くなるまで、彼はここで家族や地域の有力者と交流を深めながら創作活動に勤めました。前述の通り、古代ローマやルネサンスに傾倒していたルーベンスは、自らが設計や装飾デザインを担当。建物のあちこちにその影響を見ることができます。 フランダースの犬で有名なノートルダム大聖堂の祭壇画を描いた画家としての顔だけでなく、7ヶ国語も操る外交官として有名でもあったルーベンス。多彩なビジネスマンが手がけたこのアトリエ兼住居は、彼の美意識だけでなく、経済的余裕も垣間見れる、アントワープでも有数の豪邸です。 彼自身の作品の他にも、当時アントワープ随一のコレクターであった彼が集めた有名絵画が堪能できます。リノベーションbyルーベンス

古代ローマに影響を受けたルーベンスは、パンテオンのようなスタジオを増築。
ミケランジェロの影響を受けた美しいポルティコ(アーチ状の門)や、彼が創作活動を行うためのスタジオも増築。ベルギーのアントワープ地方に特有の建築様式と、ルネッサンスや古代ローマ時代の優雅な様式が混ざり合い、イタリアのパラッツォを思わせる荘厳な邸宅が完成しました。

庭園内には、アントワープ市によってルーベンスが生きていた当時の草花のみが植えられています。
ルーベンスの死後、乗馬学校や刑務所などとして使われていましたが、1937年にアントワープ市が購入。オリジナルに忠実に修復し、1946年から美術館としてオープンしました。
ルーベンスの家はオリジナルからかなり改築されてしまっていますが、入口のポルティコ(アーチ状の門)は、ほぼ建設当時のバロック様式のまま。庭園内にあるパビリオンも、ルーベンスが暮らした当時の様式を保っています。
ここからは、ルーベンスの家の見どころをいくつかに分けてお伝えします。
ポルティコ(アーチ状の門)

ミケランジェロが手がけたアル門に影響を受けた、ルーベンスの家のポルティコ

ポルティコはアントワープの街並みからルーベンスの世界に入る門の役割を果たしています。
このポルティコは同時代の他の芸術家にも影響を与えました。同じくアントワープ出身の画家であり、後年イングランドの宮廷画家となるアンソニー・ヴァン・ダイクは、彼の作品の中でこの凱旋門を描いています。

ルーベンスの邸宅に、彼は自分と自分の弟子たちの作品を思うがままに展示しました。
スタジオ

ルーベンスの家にあるスタジオ(アトリエ)
ノートルダム大聖堂の祭壇画など様々な名作を手がけ、当時の人気画家だったルーベンス。圧倒的な注文量をこなすために建てられた巨大なスタジオは、ローマのパンテオンの影響を受けてルーベンスがデザインしたものです。「アート・キャビネット」と呼ばれるほどの量の絵画に囲まれ、彼はほとんどの創作活動を行いました。彼の弟子の画家たちもここで共同作業を行いました。

二階から彼のコレクションを眺めることもできます。
スタジオに入って気がつくのは、彼の手がける作品群のサイズ。小さな肖像画などもありますが、壁を覆うような圧倒的な大きさの作品が並びます。ルーベンスはもともと大きなサイズの絵を描くのが得意だったそうです。
ルーベンスの家で見られる作品

美しい壁の装飾と共に展示される絵画の数々
スタジオは何部屋にも分かれており、最も有名な「ルーベンスの肖像画」をはじめ、この時代の芸術家たちの絵画、彫刻、銀細工等がコレクションされています。
- ルーベンス 「肖像画」
- ルーベンス 「アダムとイヴ」
- ルーベンス「受胎告知」
- アンソニー・ヴァン・ダイク「肖像画」
- ヴィレム・ファン・ハーヒト「Cornelis van der Geestのギャラリー」
- アドリアーン・ブラウエル「酒を飲む農夫」
また、建築だけでなく家具にもこだわりがあったルーベンスは、小物入れや椅子など、日常雑貨にも美しいものを取り入れていました。

ルーベンスの「名前入り椅子」
ルーベンスは自身が画家であっただけでなく、優れたアーティストの作品を売買するコレクターとしても有名でした。外交官としてのスキルを生かして、アントワープの名士たちとのコネクションも持っていた彼は、17世紀にアントワープ市で最も強力なコレクターになります。

ルーベンスの家で見られるカルロス・ボロメウス教会の絵画。当時のアントワープの名士であったルーベンスは、教会にも絶大な影響を持っていました。
この影響は、同じアントワープの「プランタン・モレトゥス博物館」、「マイエル・ヴァン・デン・ベルグ美術館」、そして「カルロス・ボロメウス教会」でルーベンスの作品とともに見ることができます。これらは全て近くにあるので、ぜひルーベンスを巡る旅を楽しんでください。
庭園とパーゴラ(日影棚)

17世紀の面影を残すルーベンスの家の中庭

中世ヨーロッパの伝統を紹介するイベントも開催されています。
基本情報
- 名称
- ルーベンスの家
Rubenshuis
- 住所
- Wapper 9-11 2000 Antwerpen
( 地図アプリで場所と行き方を見る)
- 最寄駅
- Meir駅(プレメトロ3・5・9・15番)
- 営業時間
- 火曜日~日曜日:10:00~17:00 (最終入場は閉館30分前まで)
- 休業日
- 月曜日、1月1日、5月1日、キリスト昇天祭, 11月1日、12月25日(イースターの翌月曜日と聖霊降臨祭の翌月曜日は開館)
- 料金
- アントワープシティカード の利用で入場料が無料になります大人(26〜64歳):8ユーロ シニア(65歳~):6ユーロ 12歳〜25歳:6ユーロ 12歳未満:無料 毎月最終水曜日は無料 ・マイエル・ヴァン・デン・ベルグ美術館とのセット券 大人:10ユーロ シニア(65歳~):8ユーロ 12歳〜25歳:8ユーロ 12歳未満:無料
- トイレ
- 有
- URL
- 公式サイト





