ブリュッセル観光モデルプラン。アール・ヌーヴォー建築巡り編

BELPLUS編集部
ブリュッセル 世界遺産 建築

アール・ヌーヴォー(ヌーボーとも)は、フランス語で「新しい芸術」という意味。19世紀末からヨーロッパで大流行した建築様式です。この流行は、第一次世界大戦後によりシンプルで直線的なアール・デコ様式に移り変わるまで続きました。

アール・ヌーヴォー様式の特徴として、曲線を多用した女性らしいデザインと、花や植物などをモチーフとして取り入れていることがあげられます。特に建築の分野では、これらの女性的な要素を、産業革命で大量生産が可能になった鉄やコンクリートを建材に利用して作り上げる大胆な組み合わせを実現しました。

ブリュッセルには、ベルギーの建築家ヴィクトール・オルタやポール・アンカールが手がけたアール・ヌーヴォー建築の数々が現在も存在し、普段の人々の生活に溶け込んでいます。数がとても多いためその全てを見ることは難しいですが、特に重要な建築物を効率よく回るためのプランを作りました。

ブリュッセル観光モデルプラン。アール・ヌーヴォー建築巡り編

ギャルリー・サンチュベール

多くの有名ショコラティエが店を構えるギャルリー。店内のランプにもアールヌーヴォーの影響が。

多くの有名ショコラティエが店を構えるギャルリー。店内のランプにもアールヌーヴォーの影響が。

1847年に完成した、世界最古のアーケードであるギャルリー・サンチュベール。古くからショッピングアーケードとして人気を集めました。現在は、ピエールマルコリーニノイハウスなどのベルギーを代表するショコラティエの他、ベルギー王室御用達の革製品ブランドのデルヴォー、日本にも進出したル・パン・コテディアンなどが店舗を構えています。

ブリュッセル観光モデルプラン。アール・ヌーヴォー建築巡り編

アーケードに並んだテラス席から、美しい装飾を眺めることができます。

ベルギー漫画センター

元々は富豪の商人の邸宅だったベルギー漫画センター © Miguel Discart

アール・ヌーヴォーを代表する建築家、ヴィクトール・オルタが手がけた建築。1906年に建てられた当初は、裕福な織物職人チャールズ・ウォーケーズの邸宅でした。現在は、日本でもおなじみのタンタンやスマーフなどを中心に、日本を含めた国内外の漫画カルチャーを展示する博物館となっています。

ホテル・メトロポール

ベルギーのアール・ヌーヴォー建築に包まれたティータイムbyホテル・メトロポール

photo credit: Thomas Hawk Oak Bar via photopin (license)

ブリュッセル中心部で100年以上経営を続ける老舗ホテル、メトロポール。ホテルのフロントや、世界最古の屋内エレベータ(現在も利用することができます)など館内の全てがアール・ヌーヴォー様式で美しく統一されています。宿泊しない方は、1階の「カフェ・メトロポール」の利用がおすすめ。

ル・シリオとファルスタッフ

ファルスタッフの外観

文化遺産に指定されたレストラン・ファルスタッフ

ベルギー証券取引所周辺には、古くから残る美しい街並みが広がります。その中でも特にアール・ヌーヴォーの影響を色濃く残しているのが、文化遺産にも指定されたレストランの「ファルスタッフ」と「ル・シリオ」。

ブリュッセル観光モデルプラン。アール・ヌーヴォー建築巡り編

ファルスタッフの内装。伝統的なベルギー料理が食べられます。

どちらもベルギーの伝統料理の他、気軽に食べられる軽食を出すレストランです。古き良き時代のブリュッセルの雰囲気を感じられます。晴れた日は、是非外のテラス席で。

楽器博物館

MIM-ブリュッセル楽器博物館への行き方と見どころ

photo credit:Milo Profi

1899年築の、ベルギーを代表するアールヌーヴォー建築様式の博物館。建物正面に「OLD ENGLAND」のサインがあるのでとてもわかりやすいです。

館内には世界各地から集められた1500点以上の楽器が展示されています。その中でも特筆すべきは、19世紀のコンポニウム。同じメロディを繰り返さずに、様々な音楽を果てしなく演奏する不思議な楽器です。他にも、アンティーク楽器の演奏やワークショップなどのイベントも開催。屋上のレストランからは、美しいブリュッセルの街並みが一望できます。

オルタ美術館とアール・ヌーヴォー街並散策

1898年から1901年にかけて建てられた、アールヌーヴォーを代表する建築家ヴィクトール・オルタの自宅兼アトリエを利用した美術館です。オルタの他の3つの作品と共に、世界遺産に選ばれています。ブリュッセルのオルタの手がけた邸宅のほとんどは、非公開または限定公開となっており、常時入場可能なのはこの美術館のみです。

オルタ美術館は午後のみ(14:00~)オープンしているため、時間調整として、周辺のオルタ建築を探す散歩がおすすめです。タッセル邸、ソルヴェー邸など、オルタが手がけた有名な邸宅はルイーズ通り周辺に集中しています。可愛いレストランやカフェも多いエリアなので、ここでランチを取るのもおすすめです。

Cauchieの家

ブリュッセルのアール・ヌーヴォー美建築巡り

photo credit: corno.fulgur75 Bruxelles – Maison Cauchie via photopin (license)

アール・ヌーヴォー建築家であり画家であったのPaul Cauchieと、その妻である画家のCarolinaが二人で手がけたCauchieの家。家の正面には、当時若い夫婦だった二人による「Par Nous — Pour Nous(私たちにより、私たちのために)」というメッセージが掲げられています。

アントワープ王立芸術学院で学んだPaul Cauchieは、自らが得意としたズグラッフィート技法を用いて、妻とともに外壁に美しい絵を描きました。これは、彼のズグラッフィート技法と、妻の画力を宣伝するための広告の役割を果たしていました。

メゾン・サン=シール

ブリュッセル中心部からは少し離れるけれど、絶対に見たいアール・ヌーヴォー建築の家といえばこのメゾン・サン=シール(サンシールの家とも)。

アール・ヌーヴォーの傑作と言われるこの建物は、ブリュッセルの芸術家であったサン=シールの邸宅として、1900年から1903年にかけて建てられました。建物をデザインしたのは、ヴィクトール・オルタの弟子で、当時まだ21才だったGustave Strauwenです。

周辺は高級住宅街となっており、他の建物にもアール・ヌーヴォー調の装飾を見ることができます

関連記事

ベルギー漫画センター楽器博物館オルタ美術館は、美術館フリーパス「ブリュッセルカード」の対象となっています。ブリュッセルカードは、他にも王立美術館やマグリット美術館など有名な美術館・博物館の多くが対象となるため、美術がテーマの旅をする方に特におすすめです。

WRITER

BELPLUS編集部

BELPLUS(ベルプラス)は、ベルギー在住者が共同で運営するメディアです。旅行に役立つ情報のほか、現地長期滞在、留学生のための生活情報もお届けしています。