1. 女子力高すぎのフルーツビールを造る「リンデマンス(Lindemans)」

甘みの少ないチェリーを使うので、飲み口は驚くほどさっぱり。男性にも飲んで欲しいビールです。
もともとは富農だったリンデマン一家が、1822年に農業の空いた時間に始めたフルーツビール作りがきっかけ。「果汁1%」のジュースとはまったく違う、このビールが持つフルーツの濃い風味に驚かされます。リンデマン一家のチェリーやいちごを使ったビールはたちまち大人気となり、数々の賞を受賞し、今ではベルギーフルーツビールの代表として必ず名前が挙がるようになりました。

ホームパーティーで「可愛い」と言われるビールたち。右のビールは「世界一のビール」を受賞したOld Kriek Cuvée René。
フルーツビールであることから、ラベルもクラシックなフルーツのイラストを主体にしたどこか女性らしいもの。ベルギービールは「Duvel」を代表格として、基本的に男らしいく強そうなラベルのデザインが多いですが、このブリュワリーの女子力の高さは、ベルギービールの中でもいい意味で浮いています(実際にベルギーでも「女の子のビール」と呼ばれるそうです。でも男性もいっぱい飲んでます)
ブリュワリーはブリュッセル西部にあり、ブリュッセル中心部からバスで行くことも可能ですが、バスの本数は少ないため車で行く方が便利です。ガイドツアーは、平日の月曜日から金曜日の朝8時から夜6時まで開催。ビールづくりにおいてこの地域が特別である理由や、醸造過程を歴史とともに見学できます。30分の見学にビールの試飲付き。
2. 屋根のない美術館、ブルージュ中心部にある「ドゥ・ハルヴ・マーン(De Halve Maan)」

Bruges Zotは東京にも同名のビアカフェを出店しています。このピエロが目印。
ブルージュ駅から徒歩10分。世界遺産のベギンホフ修道院のすぐそばに、ブルージュを代表するブリュワリー「ドゥ・ハルヴ・マーン(De Halve Maan)」があります。500年以上の歴史を持つこのブリュワリーは、今でも現役で稼働中。近年では、ここで作ったビールをブルージュ郊外の瓶詰め工場まで直接送る「ビールのパイプライン」をクラウドファンディングで実現したことでもニュースになりました。
ガイドツアーでは、醸造過程の見学もさることながら、ツアー参加者しか行けない建物上からの眺めも必見。街の中心部にあるため、ブルージュの数々の名所たちもすぐ近くに見えます。昔のブリュワリーで働く人たちもきっと同じ景色を見ていたはず。
人気ブリュワリーのため、混み合う週末の午後に確実に参加したい場合は、公式サイトからのオンライン予約がおすすめです。
3. アルデンヌの古城巡りとあわせて行きたい「オルヴァル (Orval)」

オルヴァルを造る修道院に行くにはレンタカーが必要。アルデンヌの森はとても綺麗です。
オルヴァル修道院は、ベルギー南部、フランスに近い国境沿いの小さな街にあります。代々続く製法を守るため、実際のビール製造過程は残念ながら見学不可ですが、昔の修道院の跡地や、ビールの博物館、そして料理も美味しいと評判のレストランがあります(オルヴァルビール以外も置いてあるのも不思議です)。街全体が、いかにもヨーロッパの田舎町といった雰囲気で、歩いているだけでも楽しいです。ジビエの季節は美食の楽しみも。
敷地内にあるマチルドの泉には、1076年にここを訪れたイタリアの伯爵夫人が結婚指輪を落とし、鱒がくわえて上がってきたという伝説があります。この伝説は、そのままオルヴァルビールのラベルのイラストになっています。
ダークカラーでいかにも強そうなオルヴァルビールですが、アルコール度数は6.2%「しか」なく、ベルギーでは「ライトビール」の分類に入るそう。レンタカーで行く場合は、アルデンヌ地方で一泊して、古城巡りもすることをおすすめします。