ブルージュに「ベルギービールのパイプライン」が完成！

ベルギーの有名観光都市ブルージュ。世界遺産の鐘楼を中心に、14世紀の栄華を彷彿とさせる豪華な装飾の建物に囲まれた街は、「屋根のない美術館」とまで例えられています。

そんなブルージュの人気の名所一つに、500年以上の歴史を持つベルギービールのブリュワリー「De Halve Maan（ドゥ・ハルヴ・マーン）」があります。世界遺産のベギンホフ修道院のすぐ近く、市内の絶好のロケーションにあり、いつも世界中から訪れるビール好きの観光客で大にぎわい。ブリュワリーの中でシグネチャーベルギービール「Brugse Zot」が飲めるのはもちろん、醸造過程の見学も可能。見学の途中、ブリュワリーの建物からブルージュの美しい眺めも堪能できます。

ブルージュのブリュワリーDe Halve Maanの入り口。すぐ隣は世界遺産のベギン修道院です。

そんなブリュワリーがなんと、世界初・ビールの流れるパイプラインを完成させました。ベルギー国内でもずっと話題になっていて、前回ブルージュに来た時はクラウドファンディングで出資者を募集中だったのですが、とうとう満を持しての運用開始です。パイプラインは全長約3キロ以上におよび、市中心部の歴史地区にあるドゥ・ハルヴ・マーン醸造所と、郊外の瓶詰工場を結びます。

パイプラインを作った理由

ドゥ・ハルヴ・マーンはこれまで、ベルギーの古い街特有の玉石を敷き詰めた狭い道路を抜けてトラックでビールを運ぶ必要があり、長年、運搬トラックのタイヤの劣化や、石畳の傷、交通量増大などが問題になっていました。地上の経路で運ぶ負担を解消するために、パイプライン敷設は現実的な解決策だったと同醸造所は説明しています。

この理由、すごくよくわかります。ベルギーの昔からある古い街って、道が大体こういう感じなんです。

ヒールの靴だと転びます！

日本の、景観のために作られたおしゃれ石畳ではなく、馬車の時代からバリバリ実用している石畳のため、デコボコだったり歪んでいるのは当たり前。通りによっては、歩くのが辛くなったり、ヒールが隙間にはまって転びそうになる時があります（だからミスターミニットはベルギー生まれなんだ、と納得）

他の大手ブリュワリーのように、全行程を郊外の大きな工場に移転する考えもあったドゥ・ハルヴ・マーンですが、パイプラインの完成によりその必要がなくなり、ビール運搬トラックは2016年9月を最後に運用を中止しました。つまり今後は、全てのビールが地下パイプラインを通して運搬されることになります。

資金はクラウドファンディングで

パイプライン建設費は、クラウドファンディングで出資を募りました。

パイプライン敷設にかかる費用は400万ユーロ（約4億5500万円）。ドゥ・ハルヴ・マーン醸造所は、このうち30万ユーロ（約3400万円）を、一般からインターネットで出資を募るクラウドファンディングで調達しました。500年以上の歴史を持つ醸造所と、最新テクノロジーの組み合わせも、今回の面白いところです。

見事資金を集めて完成したパイプラインは、最も深いところで34メートルにもなります。運河や城壁の下を抜けて、1時間に約4000リットル、ビール瓶1万2000本分のビールを運ぶことが可能に。運搬スピードも改善され、これから世界にもどんどん輸出されそうです。