ベルギー・アントワープに長く住み、普段からショコラティエ巡りを楽しんでいるHannaです。ベルギーには、日本未出店のブランドも含めると本当にたくさんのショコラティエがあり、チョコレートをギフトとして送り合う習慣が普段の暮らしの中に溶け込んでいます。
私が初めてショップでチョコレートを選ぶ時に、迷ったのがこれまでに知らなかった数々のチョコレート用語。特にヨーロッパ系のチョコレートブランドでは、既に現地でなじみが深い用語をそのまま日本でも使っていることが多く、由来がよくわからないまま使っていることが多かったのです(最近では、クッキーのラングドシャが「猫の舌」という意味だと初めて知りました…)
そのため、このページではチョコレートを選ぶときによく使われる用語を簡単に解説しています。また、ギフトにぴったりのチョコレートの選び方についても書いています。もらった人が嬉しくなる、ぴったりのチョコレートを選んでくださいね。
プラリネ(ボンボン・ショコラ)
プラリネ(Praline)は小さな粒型や角型のチョコレートの中に様々な味のフィリング(柔らかいペースト)が入ったもので、ボンボン・ショコラとも呼ばれます。柔らかい中のフィリングと、それを包むパリッとした外側部分のフレーバーや食感の組み合わせは、ショコラティエのセンスや技巧が試されることから、多くのブランドではプラリネを最も上位の商品として位置付けし、宝石のように台座の上でデコレーションして販売しています。内部のフィリングにはフレッシュな素材が使われていることが多く、外資系のチョコレートブランドでは作りたてを空輸して販売しています。
プラリネを最初に販売したのはベルギーの王室御用達ブランド「ノイハウス」で、当時はフィリングには主にナッツ類が使われていました(そのため、今でもこのナッツのフィリングのことを「プラリネ」と呼ぶ習慣があります)。現在ではナッツ類だけでなく、あらゆる素材がチョコレートとの組み合わせに利用されています。
多くのブランドで共通して販売している定番のプラリネといえば、「ガナッシュ(チョコレートとクリーム)」「ジャンドゥーヤ(ヘーゼルナッツやアーモンドと砂糖)」「マジパン(アーモンドとピスタチオ)」などがあります。一方で、ベルギーのショコラティエ「チョコレート・ライン」は、ワサビや大麻など変わり種のフィリングを使ったプラリネで有名です(日本未出店で、イベントでのみ購入可能です)。
フィリングにはお酒が入っていると思われがちですが、実際にはアルコール無しのものも多く、最近では低糖質のプラリネも人気です。渡す相手の好みがわかるなら、すでにセットになったものを買うよりも、ぜひ店舗でプラリネを選んでみてください。相手の好きなものを選ぶ気遣いは、きっと伝わるはずです。
トリュフ
トリュフ(Truffle)とプラリネはよく似ているため、この二つは間違えやすいかもしれません。トリュフもプラリネも同じように粒状(トリュフの場合は完全に球形のものが多いです)の形をしていますが、大きく違うのが外側のコーティング。前述の通り、硬いチョコレートで覆うプラリネとは異なり、トリュフはココアパウダーやココナッツ、砕いたナッツ類をまぶすようにして仕上げます。ただし、柔らかいフィリングをコーティングで覆って仕上げるという手法は同じなため、「トリュフはプラリネの一種」と言えるでしょう。
フィリングには、チョコレートと生クリームからできるガナッシュが使われます。比較的簡単に作れるため、バレンタインの手作りチョコレートとしても人気が高いです。下記のような手作りキットも、様々な場所で販売されています。
トリュフの起源はフランスのシャンベリー地方と言われていますが、ヨーロッパ各地に広まった結果「フランス風トリュフ」「ベルギー風トリュフ」「ドイツ風トリュフ」などのバリエーションが生まれています。
カレ
カレ(Carré)とは、フランス語で「四角い」を意味する言葉通り、シンプルな正方形の板チョコレートです。一般的な板チョコレートは長方形をしていますが、カレは正方形が基本。個別包装で売られていることが多く、様々な味やカカオ含有量のカレをアソートメントにして販売されています。シンプルだからこそ、芳醇なカカオの味わいを限りなくピュアに堪能できるカレは、高級ブランドから有名メーカーまで幅広く販売されています。
タブレット
タブレット(Tablet)はいわゆる「板チョコ」のこと。一口サイズのカレとは異なり、タブレットは大きめの長方形をしており、チョコレートに溝がついているのが一般的です。溝は割りやすくするためだけでは無く、製造過程でチョコレートを効率よく冷やすための役割も果たしています。一口サイズの小さいものは「ミニ・タブレット」と呼ばれ、様々なフレーバーのタブレットを並べたアソートセットがギフトに人気。ベルギーの王室御用達ショコラティエ「ガレー」は、味と香りにこだわるブランドとして有名で、日本人にも馴染みやすい繊細なフレーバーが人気を呼んでいます。
ナポリタン
ナポリタン(Napolitain)は「カフェのお供のチョコレート」という意味で使われており、コーヒーカップの端にちょうど乗るサイズの小さいチョコレートのことを指します。形は四角形のカレから丸型、山型など様々で、個別包装されているのも特徴です。ガナッシュ(生チョコレート)
ガナッシュ(Ganache)はチョコレートとクリームや牛乳を混ぜ合わせた柔らかいチョコレートで、プラリネやトリュフのフィリングに使われるほか、生チョコレートとしてキューブ型にカットしたものが販売されています。チョコレートの種類や加えるクリームの比率、さらにフレーバーとして加えるフルーツやナッツの色によって様々な色や柔らかさのものができるのが特徴です。暑さに弱いため、オンラインで注文するときは必ずクール便で配達されるものを選んでください。
オランジェット
オランジェット(Orangette)は名前からもわかる通り、砂糖漬けにしたオレンジの皮を使い、その周りをチョコレートでコーティングしたもの。オレンジの甘みと酸味と、チョコレートのまろやかさの両方を味わえるのが特徴です。オレンジの他、レモンやゆずなどの柑橘類も使われます。皮を使うため棒型が主流ですが、オレンジを丸ごと使ったオランジェットも販売されています。
ヌガティーヌ
ヌガティーヌ(nougatine)とは、ヘーゼルナッツとキャラメルを混ぜ合わせてできた硬いビスケットのことで、チョコレートと合うことから、プラリネのフィリングや、タブレットの中に混ぜて販売されています。
最後に:大事な人へのチョコレート。どうやって選んだらいい?
まずは何よりも好き嫌い。アレルギーの有無もチェックしたい
チョコレートを買うときは、ブランドや価格よりも、何よりも確認したいのが相手の好みです。人によって驚くほど好き嫌いが分かれるのがチョコレートの世界。折角プレゼントしたチョコレートも、「ホワイトチョコレートあまり好きじゃないんだよね」「お酒が入ってるのはちょっと」という結果になってしまったらがっかりです。
ダークチョコレート/ミルクチョコレートの好み、アルコールはOKか、フルーツやナッツ類のアレルギーが無いかどうかは事前にヒアリングしておくと安心です。
ギフトといえばプラリネ。季節限定商品も多く販売
ここからは個人の意見になってしまうのですが、私は「大事な人へのチョコレートのプレゼント=プラリネ」だと思っています。プラリネは多くのショコラティエで最上位のシグネチャー商品として位置づけられており、ブランドの意思やセンスが最も反映されるチョコレートです。パッケージもギフト用に趣向を凝らしたものが多く、ワインやシャンパンなどの他のギフトと合わせたパッケージも販売されています。
バレンタインやクリスマスなどのギフトシーズンには、毎年可愛い限定版が出るのもプラリネセットの楽しいところ。オンラインでは既にセットになったものを販売していますが、店舗で直接選ぶこともできるので、好きなものだけを詰めたオリジナルのプラリネセットを作ってみてください。
大人数に渡すなら、個別包装で色々な味のセットを
上記のプラリネですが、外側のデコレーションを見せるために、基本的にプラリネごとの個別包装はしていません。そのため、パーティーや会社などで大人数に配るにはちょっと不便です。そんな時は、配りやすく包装された小さなサイズのカレやタブレットがおすすめ。様々なフレーバーのアソートセットであれば、好き嫌いの問題も回避できますし、もらった側にも選ぶ楽しさが生まれます。
チョコレートと同じくらい、パッケージにもこだわりたい
渡す相手が、普段どんな生活をしているのか、どんなこだわりのものを使っているのか。それらと混ざっても違和感のプレゼントを送るのが、相手に良い印象を与える秘訣と言われています。チョコレートの場合は、パッケージデザインにもこだわって選びたいです。ピエールマルコリーニはシンプルでシックな雰囲気の人、ヴィタメールはゴージャスで華やかな雰囲気の人など。バレンタインは期間限定のパッケージも販売されるため、ぜひ色々なブランドをくらべてみてください。