ベルギー民族資料館について

ブリュッセルやブルージュなど、ベルギーで繊維産業(フランドル地方と呼ばれるベルギー北部のタペストリーは美術品価値が高く世界的に有名)や金融業で栄えた都市には、豪華絢爛な建物が観光名所として多く残されています。 代表的なのはブリュッセルの世界遺産グランプラス(広場を囲む豪邸は、かつての産業組合の建物です)や、ブルージュの公爵の館を改装したホテルなど。めくるめく美術的装飾に囲まれながら、ふと疑問に思うことがあります。「じゃあ、普通の人はどんな暮らしをしていたの?」 そんな疑問に答える博物館が、ブルージュにある「民族博物館(Volkskundemuseum)」です。鐘楼救世主大聖堂がある中心部ではなく、すこし外れたブルージュの人々の生活エリアにあります。かわいい煉瓦造りの家を眺めながら、石畳を歩いて行くと、かつては靴のギルド(産業組合)だった白い建物が見えてきます。 [caption id="attachment_7874" align="aligncenter" width="810"]Volkskundemuseum 100年前のベルギーの学校生活。メルカトル図法が生まれた国だけに、地理に関する資料が充実?![/caption]

Volkskundemuseumは、ベルギーの100年前の人々の暮らしぶりを見せる体験型ミュージアムです。その内容は、まさに東京の「江戸深川資料館」(行った人しかわからない例えでごめんなさい)。学校生活、家庭生活、ブーランジェリーやキャンディーショップ、職人の工場などをテーマに、実際に当時使われていた家具や道具で再現しています。

100年前は、ブリューゲルやメムリンクの絵画で表現されるほど古くなくて、現代にも通じるところがたくさん見つかるのは楽しいポイントの一つです。100年前の学校にある古いストーブなんて、私の教室にあったものと似ていましたし(古い学校でした)、靴職人のアトリエにある工具は今とそれほど変わらないのではないかと思わせられます。

Volkskundemuseum

靴職人のアトリエ。もともと靴の産業組合の建物(ギルドハウス)を改装しただけに、靴の情報も多いです。

Volkskundemuseum

昔の資料はオランダ語が中心ですが、英語の説明が補足でついている箇所も

この博物館で特に目立つのは、職人たちが作る美しいパイプのコレクション。象牙でできたパイプには、美しいマーメイドや牛飼い、そしてメルヘンな動物たちがたくさん。イマジネーションを駆使した、ヒエロニムス・ボスの絵画に出てくるような不思議な生き物も、パイプの上で立体的に再現されています。

Volkskundemuseum

美しいパイプのコレクション。手元が隠れるほどに大きな装飾は、カフェでパイプを見せ合う文化があったことを想像させられます。

Volkskundemuseum

昔ながらの手法で作るキャンディー作りの実演も。

観光客も少ない、のんびりした美術館のため、自分のペースでゆっくりと回れます。隣には黒猫をモチーフにしたかわいいレストランとホテルが併設。

基本情報

名称
ベルギー民族資料館
Volkskundemuseum (Museum of Folk Life)
住所
Balstraat 43 , Brugge
( 地図アプリで場所と行き方を見る)
最寄駅
ブルージュ駅(鉄道)
営業時間
09:30 - 17:00
休業日
月曜および1/1, 12/25
料金
Musea Brugge の利用で入場料が無料になります
大人:€ 6 65才以上:€ 5 18〜25 才:€ 5 18才未満は無料
トイレ
URL
公式サイト
*2019年時点の情報です。(ご利用上の注意)

WRITER

Aco

日本での社会人生活を経て、2017年よりベルギーに移住しました。日々のベルギー生活や、現在も勉強中のオランダ語(ベルギー北部の公用語)について書いています。