René Magritte. Le Joueur secret (The Secret Player). Brussels, 1927
©René Magritte

あなたはカーテンの向こう側。マグリットの代表作「秘密の遊戯者」

BELPLUS編集部
アート

ブリュッセル出身、シュールレアリズムを代表する画家であるルネ・マグリット(1898年~1967年)。ブリュッセルにはマグリット美術館を始め、彼の絵にまつわる見所やエピソードが多いため、ベルギーに行ったらマグリットの絵を鑑賞したい、という方も多いのではないでしょうか。そこで、マグリットの代表作の一つである「秘密の遊戯」について書いてみました。

はじめに:「秘密の遊戯者」について

「秘密の遊戯者」は、マグリットの多作時代に書かれた作品です。この時期、彼は1週間に1つの作品を完成させていたと言われています。この作品は目立つ大きなモチーフがないため、一見して静かな印象を持ちますが、よく見ると「桜並木と野球をする男達(ユニフォームのような白い服のせいか、高校球児のようにも見えます)「空に浮かぶ黒いレザーの亀」「箱に入ったボンテージの女性」などが混ざり合い、混沌とした世界を作り上げています。

マグリットの絵のタイトルに意味はない

マグリットが繰り返し公言していたことです。彼の絵につけられたタイトルに意味はありません。「秘密の遊戯者」の秘密とは何なのか?遊戯者とはバットを持っている人?それとも箱の中にいる女性?私たちの想像は広がりますが、回答はありません。

絵を仕切る赤いカーテンの意味

「赤いカーテン」のモチーフは、「秘密の遊戯者」だけでなく、マグリットの多くの作品に登場します。カーテンというより劇場の緞帳という言葉が似合いそうな赤い布は、ファンタジーと現実を分ける重要なアイテムと言われています。鑑賞者である私たちがいる現実の世界に対し、マグリットの世界はカーテンの向こう側。私たちの生活とはかけ離れたシュールな世界が、たった布一枚隔てた向こう側で繰り広げられていることを感じさせてくれます。

また、このカーテンにはもう一つの重要な意味があります。マグリットは、自身が「隠されているもの」に並々ならぬ興味を持っていることを告白しています。壁でもドアでもない「たった布一枚」のカーテンは、実は私たちの手で簡単に開け閉めが出来る心もとないもの。マグリットだけではなく、私たち全てが持っている「隠された秘密を知りたい」という基本的欲求に訴えかけるのです。

ベルギーブランドとマグリットのコラボレーション

ベルギーのチョコレートブランドノイハウスとマグリットの限定コレクション

ベルギーのチョコレートブランドノイハウスとマグリットの限定コレクション

ベルギーのブランドは、マグリットとのコラボが好きです。これまでにも、チョコレートブランドノイハウスや、王室御用達バッグブランドのデルヴォーなどがマグリットの絵をテーマに商品を発表してきました。これらマグリット限定品はおみやげとしても人気が高いため、ブリュッセル空港で多く販売されています

ベルギーの画家マグリットの絵、ブルージュやアントワープの風景などが人気。

マグリットのほか、ブルージュやアントワープの風景などが人気。

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