ルーヴェンのベギンホフ(ベギン会修道院)について
12~13世紀のベルギーでは、女性が独身のまま生活をするための働き口はほとんど無く、時期がきたら結婚をするか、結婚せずに神に身を捧げるために修道院に入るかの選択肢が一般的でした。さらに、もし結婚することで生活の安定ができたとしても、男性が十字軍の遠征や病気等で亡くなった場合、残された女性には修道院に入る以外の道はほとんどありませんでした。 修道院に入るために修道女になるということは、これまでの生活や築き上げた財産を全て放棄し、完全に俗世の人生をリタイアしなければなりません。 このような中世の封建的社会の中で、当時の女性がどんなことを考えていたのかはは知るすべもありません。ですが多様な生き方を求める現代の女性と同じように、自由を捨てずに生きたい、できれば他人に経済的に頼らず、自分の才能や技術で生活していきたいと思っていた女性もきっといたはずです。 そんな女性の多様な生き方を支えるためにできたのが、ベギン会という女性達の互助組織です。このベギン会は、ベルギーに多くの「ベギンホフ(ベギン会修道院、ベギナージュとも)」と呼ばれる女性の生活拠点を作りました。現在も30箇所以上のベギンホフが残っており、ベルギー政府から推薦された26箇所のうち、13箇所が1997年にベルギーの世界遺産として登録されています。 [caption id="attachment_15293" align="aligncenter" width="1200"]
ベギンホフを散策
ルーヴェンのベギンホフはそれほど大きくなく、ゆっくり歩いても1時間ほどで見終われる大きさです。ですが、一つ一つ違う通りの風景や、美しく手入れされた窓際の花や飾りに足をとめて歩くたびに、あっという間に時間が経ってしまいます。

建物の装飾から、当時の暮らしぶりがうかがえます。
現存するベギンホフを構成する建築群はそのほとんどが16~18世紀に建築されたもので、当時の典型的な建築や都市のスタイルを見事に保存しています。大学関係者が居住しているため、残念ながら関係者以外は建物の中に入ることはできませんが、ベギンホフのすぐ近くにはホテルがあるため、雰囲気を感じるにはこちらに泊まってみるのもいいかもしれません。

ベギンホフの室内から撮影した写真。世界遺産として保護されながらも、現在はルーヴェン大学の関係者が居住しています。
中世そのままの石畳の通りをあちこち歩いて散歩した後は、周囲にあるカフェでお茶を。ベギンホフとルーヴェンの中心部は歩いて15分ほどなので、美しい市庁舎を見学した後は、レストラン通りとして名高いParijsstraatでランチや軽食をとるのがおすすめです。ベギンホフ+ルーヴェン市内観光で半日〜1日を楽しめます。

ベルギー・ルーヴェンの市庁舎。街の中心にあります。

ベギンホフとセットで訪れたい、ルーヴェン大学の図書館。日本の菊の紋章が飾られています。
基本情報
- 名称
- ルーヴェンのベギンホフ(ベギン会修道院)
Groot Begijnhof Leuven
- 住所
- Groot Begijnhof、3000 Leuven
( 地図アプリで場所と行き方を見る)
- 最寄駅
- ルーヴェン駅(鉄道)
- 料金
- 無料
- トイレ
- 無
- その他
- 世界遺産ですが、大学関係者の住まいとして利用されているため、居住者に配慮した静かな観光をするようにとの注意書きがあります。
*2019年時点の情報です。(ご利用上の注意)