以前、 ブリュッセルから電車で行ける街・ナミュールの絶景でご紹介したナミュールから、さらに電車で行くこと20分。ブリュッセルから約1時間半で行けるディナンは、ベルギーに来たからには是非とも訪れたい魅力的な街です。
ディナンへの行き方
ブリュッセル北駅・中央駅・南駅からはディナン(Dinant)行きの都市快速電車(IC)で約1時間50分。またはLiege-Palaisや Arlon行きの都市快速電車に乗り、ナミュールで乗り換えます。ナミュールからは20分です。
詳しい時刻表や路線情報は、ベルギー国鉄のホームページで検索できます。
ディナンはブリュッセルやアントワープとは異なり、団体ツアーではあまり訪れることはありません。ですが、ブリュッセルやアントワープとは全く違う、ムーズ川によって造られた高さ100mの切り立った崖に沿うように続く街並みは、見る人すべてを圧倒する光景です。ベルギーの美しい建築の真後ろにそびえる断崖は、”絵のような街”として多くのベルギーの絵のモチーフになっています。
12世紀以降は銅・真鍮の加工で知られた街であり、この街の楽器加工職人であった父親の影響を受けたアドルフ・サックスはサクソフォンの発明者として広く知られています。
ディナンに来たからには必ず訪れたいのが、そんな街を見下ろす絶壁の上に建つシタデル(城砦)。街の中央にシタデルへの入り口があり、ロープウェイで行くことも、1577年から存在する408段の石段を歩いて登ることもできます。上った先には、ムーズ川とその両側に並ぶディナンの街をすべて眼下におさめることができます。
シタデルから見下ろす眺めは、かわいい家と緑の木々が多かったナミュールよりも、街のさらに奥まで続く断崖の岩のゴツゴツした感じが印象的です。二つの街を訪れて、両方の眺めを比べてみるのがおすすめ。
ナミュールのシタデルとのもう一つの違いは、ディナンのシタデルの中は資料館のようになっており、ガイドツアーにより17世紀から第二次世界大戦までのこの街の歴史を見学することができることです。ベルギーは、13世紀はスペイン、17世紀はフランス、19世紀はオランダ、第二次世界大戦中にはドイツと、戦いのたびに支配者が変わるという波乱に満ちた歴史を体験してきました。
特にこのディナンは、ムーズ川沿いの戦略的要所として各侵略者から目をつけられ、1914年にはフランス軍とドイツ分の戦いにより市民600人以上が命を落としたという悲しい歴史があります。ガイドツアーではその時の激しい戦いの記録とともに、その時代のベルギーの一般市民や城内で暮らす人の生活も垣間見ることができます。