料理をメインにベルギービールを楽しみたい方へ

ブリュッセルでベルギービールと一緒においしいディナーを食べたいけど、ビアパブの料理はちょっと物足りない。かといって、フルコース料理はちょっと重すぎ。そんな時におすすめしたいのが、Nuetnigenoughというレストランです。

グラン・プラスから歩いてすぐなのに静かな通りにあります。

Nuetnigenoughは、グラン・プラスから歩いて3分ほどの便利な場所にあります。アール・ヌーヴォー調の曲線的な木のフレームがクラシックで可愛らしい外観です。平日の昼間は営業していないためひっそりとしていますが、辺りが暗くなる頃にお店のライトがつき始め、開店と同時にお客さんが訪れます。目の前の細い歩道に並べられたテラス席はいつも大人気。暑さ寒さはお構い無しにテラス席から埋まっていくのは、テラス至上主義のベルギーらしくて面白いです。

とても人気のお店なので、金曜の夜などの混む時間帯に行くのであればオンラインでの予約がおすすめです。満席の場合は店内の一番奥にあるカウンター席(といっても数席のみ)か、外で待つことになります。

お店の中は、クラシックなシャンデリアや暖炉と、モダンなアート作品が混在するちょっと不思議な空間。でも全体的にはカジュアルで、肩肘張らず、落ち着いてくつろげる空間です。ドアを開けて店内に入ると、ちょうど1組のお客さんが出て行くところだったため、テーブルを片付けるまでちょっと待ってて、と言われて中で待つことになりました。

私たちが行った日は、店内は仕事帰りらしい若いグループ中心。みんなでおつまみを2~3品頼んで、あとはビールでワイワイ話しています。テーブルもバースタイルでこじんまりとしていて、服装も仕事帰りのスーツ姿からカジュアルまで色々。ブリュッセルで暮らす人たちの多種多様な感じがよく出ていると思いました。

メニューについて

このお店のこだわりは、レストランながらも、ビアパブに負けないほどのベルギービールの種類の多さ。ベルギーでは、普通のカフェやレストランでも常時10~20種類のビールを揃えているのが普通ですが、ここはちょっと特別。ベルギーでも知る人ぞ知る、という小さな醸造所も含め、たくさんの種類のベルギービールを揃えています。こんな小さなレストランのどこにこんなにビールが隠れているんだろう、と思うほどです。

どのビールにするか迷っていると、店員さんが丁寧に説明してくれました。季節によっては、このメニュー表には出ていないビールも入荷しているそうなので、気になる方は声をかけてみてください。

ベルギービールへのこだわりは、料理にも出ています。たとえば、ベルギー料理として人気のワーテルゾーイ(waterzooi / 肉や魚介のクリームシチュー)ですが、このレストランでは「Jan de Lichte」というビールを使っています、とメニューにちゃんと書かれているのです。他にも、ウサギとプラムの煮込みには「Quetsche Tilquin」を、ソーセージのソースには「Orval」を。

小エビのコロッケや、トマトのサラダといったベルギーの定番料理もしっかり網羅しています。ビールのおつまみとしての料理だけでなく、このようにしっかりとした料理がメインにあるのも、ディナーの場所としてローカルからも人気を集めている秘密です。

そして、メイン料理の付け合わせは自分たちで選ぶことができます。マッシュポテト、マッシュベジタブル(茹でた野菜をつぶしてピュレー状にしたもの)、フライドポテト、野菜、そしてライス。ライスは日本のお米とは違うパラパラしたお米ですが、日本を遠く離れた場所でお米を選べるのがちょっと嬉しいです。

メイン料理+ビール2杯で30ユーロ程度と、ブリュッセル中心部のレストランにしては値段も手頃です。もし最初にビールを楽しむなら、タパスのメニューからチーズプレートや田舎風パテを選ぶのがよくある組み合わせです。

血のソーセージって、どんな味?

今回は、ベルギー料理の定番「カルボネードフラマンド(牛肉の煮込み)」と「血のソーセージ」を頼みました。

ベルギーの伝統料理、牛肉のビール煮込み

カルボネードフラマンドはビールの味が濃くておいしいソースでした。量が多いのは想像できたのですが、つけあわせのポテトもかなりの量だったので、つけあわせを野菜かライスにすればよかったな…とちょっと後悔。でも結局は全て食べて、無料のおかわりのフライドポテト(もちろん揚げたて)まで頼んでしまいました。

そして、もう一つの「血のソーセージ」というちょっとおどろおどろしい一品。
豚の血液を材料として加えたソーセージで、見た目も一般的なソーセージより暗いことから「黒いソーセージ」とも呼ばれています。ベルギーでは、普通にスーパーにも売っている人気のソーセージです。

血のソーセージはぜひ食べて欲しい!とても味のしっかりしたソーセージです。

レバーが苦手なためドキドキしながら食べましたが、全く生臭さはなく、血の味がするのではなく、肉自体の味がとても濃いと感じました。しっかりグリルされているためレアのお肉ではないのですが、味自体はレアを食べているのに近いのかもしれません。その味の強さに負けないくらいの、一緒に練り込まれたハーブの風味も印象的でした。

血のソーセージは、メインメニューとしてはないこともあるそうです。そんな時は、前菜メニューから「Bloempanch」というメニューを選んでみてください。これは、ブリュッセルに古くから伝わる血のソーセージですが、他のソーセージと大きく異なるのがそのサイズ。なんと直径にすると10センチ以上になるんです。食べ方も、スライスしたり、ブロック状にしたりするのが一般的。

ブリュッセルの中心部・ジュドバルの蚤の市で有名なマロル地区にはアプリコティエという通りがあるのですが、そこは通称 Den Bloempanchgangと呼ばれており、このエリアの人たちに親しまれていたことがわかります。

支払いについて

最近は現金を使うことがほとんど無くなっていたのですが、ここはたまたま現金を多く持っていたので、久しぶりに現金で支払うことに。

まずは店員さんを呼んで、「ラディション・シルブプレ(レシートを持ってきてください)」と告げると、10分ほどしてレシートが机の上に置かれました(満員のレストランでは10〜20分くらい時間がかかることはよくあります。ひたすら待つしかありません…)。合計金額を見て、そこに書いてある通りの価格と、任意で数ユーロのチップを払います。

今回は二人で52ユーロだったため、60ユーロを紙幣で用意し、テーブルの上にレシートと重ねて置いておきました。しばらくするとお店の人が回収し、いったんはレシートの通りの金額でお釣りが支払われます(コインを携帯している店員さんの場合、目の前ですぐにお釣りをくれることも)。その後、自分でチップとして支払いたい分をテーブルに残し、席を立ってお店を出る流れです。

ですが、例えば合計金額が49ユーロで50ユーロを持っていた場合、店員さんがお金を回収する時に、ひとこと「お釣りはいりません」というほうが、やりとりも少なくなるしずっとスマートに見えます。

個人的には、クレジットカード払いの方が断然便利かつ安心ですが、手持ちの現金を使ってしまいたい時や、カフェのテラス席の端っこ(店員さんが何回も来てくれるのに時間がかかる)に座った時など、現金で支払うことも時々あります。

ブリュッセルにはこのほかにも、人気のビアパブがたくさんあります!初めての海外のビアパブ、なかなか入りづらい…という方にはビアパブをめぐる2~3時間のツアーがおすすめ。いかにも観光客向けの場所ではなくて、ガイドが自分のお気に入りのパブを紹介してくれるようなローカル感のあるツアーが最近の人気です。

WRITER

BELPLUS編集部

BELPLUS(ベルプラス)は、ベルギー在住者が共同で運営するメディアです。旅行に役立つ情報のほか、現地長期滞在、留学生のための生活情報もお届けしています。